■ 偉大な音楽家 チ・ボラグ 「小島 美子」![]() チ・ボラグさんは内モンゴルの馬頭琴の音楽を、いわば民俗的なレベルから芸術的なレベルにひき上げ、楽器も改造して、まさに現代の芸術的な音楽として完成した。さらに合奏団も組織して新しい発展もはかっている。チ・ボラグさんの音楽と活動は、世界の民族音楽の音楽家たちにとって、大きな励ましであり、ますます活動の輪が広がることを大いに期待したい。 小島美子(こじま・とみこ) プロフィール 1929(昭和4年)年、福島県生まれ。東京大学文学部国史学科、東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。東京芸術大学講師、国立歴史民俗博物館教授、江戸東京博物館研究員などを経て、現在、国立歴史民俗博物館名誉教授。専攻は日本音楽史、民俗音楽学。近代日本の歌曲史研究を出発点に、伝統音楽を研究。全階層を視野に入れた「音の聞こえる音楽史」をめざしている。著書に「日本の音楽を考える」「歌をなくした日本人」(以上、音楽之友社)「日本音楽の古層」(春秋社)「音楽からみた日本人」(日本放送出版協会)など。 ■ チ・ボラグさん、事務所開設おめでとう。 「坂田 明」![]() 馬頭琴と漢字で書く彼の演奏する楽器は世界でもめずらしい2弦の擦弦楽器、モンゴル語ではモリン・ホールと呼ぶ。「スーホーの白い馬」の物語でも知られるこの楽器はモンゴル民族の誇りとなるもので、その誇りに見合う素晴しい音楽を醸しだす。 小生もその音楽の魅力にとりつかれた人間の一人である。その中でも、チ・ボラグさんのモリン・ホールは現代の音環境に適したような進化を遂げたものであり、その卓越した技術と音楽性は世界一である。彼の名作「万馬のとどろき」を一聴して頂けると一目瞭然に誰でも判ると思う。 今回の事務所開設は、日本の低迷している民族音楽や、また音楽全般に渡り大いなる刺激となること確信して止みません。 坂田 明(さかた・あきら) プロフィール 1945年広島県呉市生まれ。1969年広島大学水畜産学部水産学科卒業。1969年東京でグループ「細胞分裂」を結成、同時にフリー・ジャズ・ミユージシャンとの共演を重ねる。1972年山下洋輔トリオに参加、この坂田明在時期は同トリオのピークを形成するもので、名実ともにナンバー・ワン・グループの評価を獲得した。現在は、「坂田明トリオ」、「ハルパクチコイダ」を中心に活動する傍ら、現代の民謡を歌う伊藤多喜雄、和太鼓奏者の林英哲、フォークソングの小室等などとジャンルを越えた共演なども行っている。こうした彼の前向きに自己を変革する姿勢は常に注目すべきものである。また、特異な視点と文体によるエッセイストとしての著作を持ち、俳優としても映画やTVで活躍する多彩な才能を持つミュージシャンである。 |
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